アラビア語“塾”語学研修 ~ 第3日目 2007年9月16日(日)
<サラーラ→乳香の道→ウバル遺跡→サラーラ>
ガイドのアハマドさんは、荒れ野にぽつぽつと生えている4-5mの木に近づくと、やにわに木の幹をごりごり削りだし、びっくりしている私達に樹液の匂いを嗅がせてくれました。
確かに聖なる香り!ゴムの様に樹液を貯め固めてお香として焚き、またそのまま口に含んで香りを楽しむとそうです。(後で味わうチャンスに恵まれましたが、なんとも歯ごたえのあるちっとも減らないチューレットみたいで、顎が疲れました。)
この乳香から作った香水アムアージュ、愛用しています。
簡素な金網で囲まれたレンガ積みの廃墟、と思いきや地図を見ると全体はかなりのサイズの様子。まだまだ発掘途中で今後どんな町並みが現れて来るのか・・・全貌が現れるのは何時ことやら・・・
ウバル遺跡の看板を前に、われら熱意溢れる生徒達はガイドのアハマドさんに、音読してくれる様懇願しました。
スズメの学校よろしく、声を合わせて大きな声で読み上げた健気な生徒達の声、是非先生に聞かせたかったです。
<先生からの“天の声”>
さて皆の衆、何しろ語学研修旅行である勉強をしなければ!!
今日の旅は「ウバル」だが、この町はコーランの章句(第89章「ファジル、黎明」第5-8節)に記述されている「イラム」であるとオマーン政府は主張している。(因みにサウジ政府は認めていない)
「汝(ムハンマド)よ、主がアード族に何をなされたかを見なかったか。立ち並ぶ円柱のイラム(ウバル)を。それほどのものは未だにこの国に作り出されてはいない」
トロイの遺跡を発見したシュリーマンの如く、この町の存在を信じて、アラビアのロレンスやサウジ王室顧問を務めたイギリス人フィルビー等が、「ルブアルハーリー」砂漠を探し回ったのをご存じかな?
アメリカの偵察衛星が発見するまで、誰も見つけることが出来なかった幻の町だったのだ。
岩波文庫「コーラン」(下)井筒俊彦訳によると、
「この町はアード族が、イエメンのハドラマウト地方に居てその王シャッダードが天国の話を聞き、地上にもそれに対抗する楽園を作ろうとし、円柱が立ち並ぶ華麗な王宮を建て、これをイラムと名付けた。これは、先史時代このあたりに栄えた非セム的文化のかすかな記憶が、伝説の形で残った物である」
と解説してある。
シバの女王がが活躍した時代、この町は、エジプトやメソポタミヤに行く乳香を積んだキャラバンルート上にあった大きな中継基地として栄えたのであろう。
遺跡には大きな断層が有り、地震で地下の帯水層が切断されてしまい、その結果渇水しこの町が放棄されたのではないかと思われる。
因みに「塾」には、ここで発掘された「鏃(やじり)」が有る。
13年前の第一次オマーン遠征隊が、未だ発掘が始まったばかり彼の地を訪れ、其処の管理人のおじさんに
「おお、汝達はアラビア語の学徒であるか!主が望まれし事じゃ(素晴らしい、と言う意味)。じゃこれあげる」
と言って、机の中から出してプレゼントしてくれた。
一応は、遺跡から出土した物なので辞退したが、「主が望まれていない」根の卑しさに負け、有り難く頂戴してきた。
まさか「イラム」でこの鏃を作った何千年前のアード族の人も、自分の鏃が海を渡り極東の島国まで渡行くとは思っていなかったに違いない。
(文責:素足美人さん)
この日、私は一日中ヒルトンホテルの部屋から一歩も出ずに過ごしました。
さいわい、今回はいつもの国外脱出と違い、友人のウンム・アリーと同行、一応は心配そうにしてくださる先生と一緒。相手のメイワクはかえりみないのがワタシの良いところ!
それにしても、数多い国外脱出の中で、2回目の体調不良、不覚でございました。
ヒルトンはとてもグッドでございましたが、体調不良の私にとって、動くたびにゆれるベットが気持ち悪くて、考えた末に、ベットカバーにくるまって床のカーペットの上にじかに寝ました。この時はヒルトンていいなーと思いました。
さて、いよいよ16日の朝、明るくなって目を開けると友人が心配そうに覗き込んでおります。床に寝たりしている私を見てさぞや驚いた事でしょう。
しかし、彼女も私の友人だけあって、あわてずさわがず、私の頼みをひとつずつ正確にこなし、その間に朝ご飯をしっかり食べ、出かける支度をして、行ってくるねーとさっさと部屋を出て行きました。
そして、友人がいなくなって10分くらいたった時に、いきなり私は起き上がりました。しばらくしてからベットカバーにくるまったまま、作っておいてもらったポカリスエットをごくごく飲みました。(私のスーツケースにはいろいろ入っています)見たら、ボトル1本一気飲みで、なくなっていました。それからベットカバーから這い出して(ホームレスさんの経験を少ししました)スーツケースに近ずき、ごそごそとシャワーや着替えの支度をしていると電話が鳴ります。
いそいで出ると、うさんくさい男の声で、「今ノックしたんだけどー」とおっしゃいます。あわてて、すみません、今度は開けます、と言って待ち構えているとノックが・・・先生がいらっしゃったので、私はレロレロの口で、体は良くなった事、今からシャワーを浴びるつもりである事を話しました。
先生はランチボックスをキープしてある事、具合が良ければ一緒に食べる事などおっしゃいましたので、私の部屋で良ければ、散らかったままだけれど私が楽な事を話し、先生は12時にもう一度来るからと言って出て行きました。お世話係りさんはここでもしっかりと、「おこさないで」カードをドアに掛けてくれました。
さて、念入りにシャワーを浴び、洗面を済ませやれやれ、と時計を見るともう11時近いです。ランチの約束まで1時間では、寝るほどの時間は無いなーと思いながら、ベットに横になりました。
いきなり、また電話です。今度は女の人の声で、
「今、先生がドアの外にいますから、入れてあげてください」
というのです。ベットから飛び降りて(小さい私は本当に飛び降りたのです)、ドアに駆けつけました。
そこには、ランチボックスの山と飲み物をかかえたヒノキ先生が・・・うらめしそうな顔で立っていました。マズイ~!! 失敗です! 寝てしまった! 2度も先生を締め出してしまった!!
願わくば、今度塾から私を締め出さないで下さい。お願いします。鍵かけて息をひそめていたりしないで下さい。
それから3人でテーブルを囲み、ランチボックスを開けました。お世話係さんはお湯を沸かしてくださいます。
先生はいきなり「サンドイッチちょうだい!」とおっしゃいます。もちろん、まだ私の胃袋はこんな大きなパンに挑戦するほど回復していないので、差し上げましたよ。ネ! だから塾から締め出さないで~~
そして、おいしそうにサンドイッチにかぶりついている先生を横目で見ながら、私はまだお茶だけにしておこうかなと考えながら箱の中を見ました。そこには大きなバナナが2本入っていました。
私はそれをじっと見つめていました。バナナも私を見つめています。食べて、と言っています。やおら手を伸ばし、大きなバナナにかぶりつきました。おいしかったです。全部食べても気分悪くありません。もう一つのバナナをしばらく見ていたけど、やっぱり食べてあげることにしました。
この日の私のランチは、大きいバナナ2本とお茶でした。お世話係さんは、あの大きな硬そうなサンドイッチを上品にちぎって食べようとして悪戦苦闘していました。
食事が済んで、少しおしゃべりして、残りをかたずけたりして、お2人はお部屋に戻られました。その時に私はカードを「お掃除してください」に変えておきました。
まもなく、係の人がやって来て散らかった部屋をかたずけていきました。
やがて、パタンとドアの音がして友人が観光から帰ってきました。
その時に、良くなったのなら食事に顔を出せば、と言う話になったのですが、疲れるから今日はお粥にしておくということにして、友人は私のためにお粥まで用意してから食事に行きました。
お粥はおかずなしです。弱った胃のために、塩だけで食べることにしました。日本産伯耆の塩とかいうのがスーツケースに入っています。インスタント味噌汁もあります。すごくおいしかったです。このお粥と味噌汁で、私は突然愛国者になりました。
ご参考までに、このお湯を入れるだけでいいというお粥は、デパートの旅行用品売り場で売っているアルファ米ですが、出来上がりはお粥というよりも、水加減を間違えたご飯に近かったです。でもおいしかった!残りは翌日の朝食になりました。
そんなわけで、この日、私はヒルトンのホテルライフを満喫し、ヒノキ先生を2度締め出した以外は心配事も無く、早く眠りにつきました。
(文責:姐さん)
COMMENTS
コメントはまだありません。