アラビア語「塾」

皆様に愛されて開塾30年

アラビア語「塾」30周年パレスティナ巡礼紀行(その3)

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約 5 分

 

アラビア語「塾」30周年記念パレスティナ巡礼紀行

2018年10月28日(日)- 3日目
執筆:ムトリバ ジュンコ

マルサバ修道院、生誕教会、ミルクグロット、シェパーズフィールド、
パレスティナ人のお宅訪問、バティール村(世界遺産)を訪問

 

折角イスラエルに行けるのに一週間ではもったいない!と一人、皆様より一週間早く機上の人となりました。テルアビブでは海岸沿いのホテルに滞在、のんびりシティライフを満喫しました。美術館、おいしいレストラン、楽しい市場、サーフィンが出来るきれいな海もあるこじんまりとした東京!朝に夕にとジョギングしている人たちが行き来するビーチストリートの気持ちよさは、ここは住めるな感満載でした。

その後三泊四日の現地ツアーで北部を周遊しましたが、駆け足過ぎたので、次があれば今度はもっとゆっくり訪れてみたいと感じる街ばかりでした。

ナザレの受胎告知教会、ガリラヤ湖畔、「ハイファに戻って」のハイファ、アッコーの十字軍の町、ゴラン高原から眺めたシリア、キブツホテルでの宿泊、カバラ発祥の地ツファット。何より驚いたのは、ガリラヤ湖畔の湿潤な気候、パリサイびとに対抗したイエスの思想はそこでこそ醸成されたと言えるでしょう。キブツホテルの客室は快適でしたが、食堂で見かけたキブツ居住者の表情には、充足感こそあれ溌剌とした活気は見出せませんでした。

ツアーメンバーはインド系カナダ人、パリ在住フランス人、西海岸在住アメリカ人、東海岸在住ユダヤ系アメリカ人と、旅行目的も色々でしたが、あーでもないこうでもないとバスのなかは賑やかでした。それでも不思議なことに、このツアー中、ガイドさんからもツアー参加者からも、パレスチナのパの字も会話には登場しなかったように記憶しているのです。パレスチナがあるのって本当にこの国?でも私はふとわが身を振り返りました、私たちも、広島や長崎、福島や沖縄があるのってこの国?そう思われても仕方ありません。

ぼんやりそんなことを考えていると、「この辺りはアラブ系の住民が移住してきているところで、新しい家はこのようにすべて独特のテラスとアーチで装飾されています。」とガイドさんの声。車窓からは崖のあちこちに小さなアルハンブラ宮殿がいっぱい!

自由時間の少ない忙しいツアーのなかで出会ったベストフードはイエメン風クレープ?お好み焼き?「ラフーア」!これは絶品でした。イエメン人の明るいお兄さんが焼いてくれました。イエメンか・・・

ともあれイスラエル北部の旅は終了、空港で檜先生グループと合流すると、あぁ日本語っていいなぁと(たった一週間でしたが・・・)

ツアー開始後二日目、先ずはマルサバ修道院へ。カッパドキア出身の聖サバスが5世紀に建てたとされる正教会の修道院です。現在も修道僧が生活している修道院としては最古のものだそうで女人禁制でしたが、その断崖絶壁のなかにたたずむ姿を展望台から見るだけでただならぬ空気、聖地ってこういうことなんだろうなぁと。そして乾いた絶壁のあちこちにある修道僧の住居跡に、永平寺修行僧の一畳寝床との違いを感じつつ、宗教そして文化のバリエーションに眩暈を感じ、頭の中は時空間を行きつ、戻りつ、脳が久しぶりに活性化してくるのを内側から感じていました。

昼食はベツレヘムに戻り、パレスチナ人のご家族からのお話を聴きながら昼食。ドイツから戻られ、旅行客に料理やステイを提供するサービスを続けていらっしゃるようで、これはすてきな試みだなぁと色々な応用編を頭に浮かべました。お話を聴いているうちに、私は、パレスチナの人々が迫害されているというより無視されていることの恐ろしさに苛立ちを感じました。北部のツアー中に私が感じた違和感はそれです。パレスチナのことをなきものにしようとしているイスラエル人がいるという空気への違和感です。

愛の反対は憎しみではない。無関心だ。

私は児童養護施設で心理士として働いていますが、子どもたちからよく出てくる言葉は、

「あの職員無視するんだよ」・・・怒られることより、怒っていることを感じさせようと職員がわざと醸し出すスルーの雰囲気が子どもたちに届いてしまうのです。せつない瞬間ですが、人にとって、「とるにたらないもの」として扱われることが一番尊厳を傷つけるということはやはり真実なのでしょう。

お嬢さんがトラウマを受けた子どもたちや女性の支援をされていると聞き、ゆっくりお話をしたかったのですが、wings of hope for traumaという団体に所属しているとのこと、

そのうちメールを送ってみたいと考えています。

ツアー二日目の最終目的地は、世界遺産に認定されながらも、ひっそり人々を養い続けるワインとオリーブの地バティール村。何千年も続く泉の水を利用した灌漑システム、緑に溢れた段々畑には、日本語の里山という言葉がぴったりでした。こんなところに分離壁なんてとんでもない・・・ユネスコの危機遺産リストに登録されることでどんな恩恵が受けられるのか知りませんが、食文化の大切さが実感できる貴重なところでした。旧約聖書に表された「乳と蜜の流れる場所 カナン」。乳と蜜どころではなく、水がすべての基にあるのです。帰国して思わず「アラビアのロレンス」を観なおしましたが、砂漠における水の意味を再認識、今の日本でも水は大切なんですけど・・・

今回の旅を振り返ると、一つの場に居ながら時代が数千年単位でワープしてしまったり、日本から遠く離れたイスラエルに居ながら、現代社会の病んだ部分を眼前につきつけられたりと、本当に刺激的な毎日でした。そんな刺激の一つ一つを日常の中で思い出しながら、また次の旅路を描いていきたいという気持ちでいっぱいです。

最後に、このすてきな旅のチャンスを授けてくださった檜先生、本当に有難うございました。先生との出会いは、小さな新聞広告がきっかけでした。アラビア語は依然として、使えるどころかちょっと知っているという状態でストップしていますが、アラビア語に挑戦してよかったです。そしていつか、フラメンコのステージでアラビア語の歌がうたえたらなぁとは考えています。楽しみに気長に待っていてください。

4日目:ジェリコ(誘惑の山)、ヒシャーム宮殿、死海、ナビー・ムーサーへ→

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