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アラビア語「塾」30周年パレスティナ巡礼紀行(その14)

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アラビア語「塾」30周年パレスティナ巡礼紀行(その14)

 

アラビア語「塾」30周年記念パレスティナ巡礼紀行

2018年11月3日(土)- 9日目
執筆:アンク

 

エルサレム – 最終日

 

この日は最終日で、残された時間は夕方の4時まででした。心残りがないように、見られるだけ見て回りたいと心は焦るのですが、疲れも出ていて朝なかなか起きることができませんでした。それでも中庭の席で木や花に囲まれながら朝食を食べているうちに元気になり、結局夕方の集合時刻まで寸暇を惜しんで観光しました。

聖ジョージ教会

午前中に行く予定のロックフェラー博物館の開館まで時間があったので、ホテルの近くにある教会に行ってみました。イギリス国教会の教会で、まだオスマントルコ時代の19世紀に作られた教会だそうです。敷地内の表示は英語とアラビア語両方で書かれ、歴代の司祭の名前にはアラブ人らしき名前があり、教会内部には浴槽のようなものもありました。後から調べたら歴史的に正教会とも関係があり、浴槽は正教会系の洗礼で使うようです。建物の雰囲気もお庭もイギリス風だったけれど、こういう混在はエルサレムならではなのかしらと思いました。

ロックフェラー博物館

パレスチナの膨大な考古学的遺物が展示してあり、しかも無料で見学できる、ありがたい博物館です。建物はオスマントルコ時代の宮殿で東エルサレムにあるのに、イスラエルが管理しているようで、入り口の警備所のお兄さんは不愛想で強面なイスラエル人でした。

入ってすぐの展示室は、意外なことに古代エジプトのファラオ像や勝利の石碑が展示してありました。学生時代専攻した古代エジプト史ではエジプト側の史料としてパレスチナ遠征や交流の記録がありますが、パレスチナの地にエジプト軍が残していった遺物が現存するとは考えてもいなかったので非常に嬉しい驚きでした。ただ、エジプト史の中では比較的新しい時代のものしかなかったので、それより古い「エジプト帝国」時代の建造物や遺物がもしかしたらまだ埋もれているかもしれないと思うとドキドキします。

エジプトの展示室を出ると、後は先史時代から年代順に土器や装飾品などが展示されていました。とにかく数が多くて、本当は説明も読んで全部をじっくり見たかったけれど、時間の制約があるのでビデオの早送りみたいに駆け足で巡り、最後は少しだけ美しい中庭で休憩しました。ここも昨日行ったイスラエル博物館もまだまだ見たりないものがたくさんあって、エルサレムには博物館をもう一度見るためだけでもまた来たいと思いました。

ニーハオ!
皆さんと一緒にいるときも、一人で歩いているときも、現地の人から声を掛けられるときはほぼ100%「ニーハオ!」。スークでエルサレムの写真集兼ガイドブックを売っていたお兄さんは私を見ると韓国語の本を売りつけようとしました。いくつかの国を旅行しましたが日本人がここまで影が薄いのは初めての経験で、面白かったけれどやっぱり「ニーハオ!」とばかり言われるのは複雑でした。

この日もロックフェラー博物館から一度チェックアウトのためにホテルに戻る途中、お店に屯っていたアラブ人のお兄さんたちから声をかけられたのは「ニーハオ!」。うんざりして「انا يابانية」と言い返したら、午後遅く二回目に通った時は「サヨナラ!」と言ってくれ、ちょっと嬉しかったです。

エルサレム歴史博物館

やりたいことリストの最後から2番目は旧市街西側のダビデの塔を博物館にしたエルサレム歴史博物館訪問です。ちょっとお腹がすいていたけれど、お昼は省略して見に行きました。
地球の歩き方によればエルサレムの町の歴史がわかりやすく展示してあるということでしたが、間違ってはいないものの、かなりユダヤ人の視点から見た歴史に偏って描かれていて、苦笑してしまいました。
でもダビデの塔は城塞なので遺構が見られて面白かったし、一番高いところからはエルサレム旧市街を一望できるので、それだけでもみる価値はありました。

聖墳墓教会再訪

エルサレム初日に見学したときによくわからなかったことがあったので、ダビデの塔を切り上げて聖墳墓教会にもう一度行ってみました。ただ、この日は土曜日で、前回平日に行った時の10倍以上の人込みで参りました。ジャッファ門から教会に向かう道も観光客で大渋滞。日本の朝のラッシュは世界的に有名らしいけれど、旧市街の休日には負けると思います。

聖墳墓教会に着いても状況は変わらず巡礼者の大渋滞で、入ってすぐ右側の階段を上るのが順路なのですが、せいぜい10数段を上るのに10分近くかかりました。時間も迫っていたので諦めて階段を下りて出ようとしたら、入り口正面の壁の後ろに秘密の?正教系の礼拝所があって、何か儀式をしていました。2階部分からは覗き見ることができましたが1階に降りても入り口は見つからず、信徒のための閉ざされた空間のようでした。

私のような物見遊山の観光客に邪魔されずに祈る空間が必要なのだと思うと少しだけ申し訳ない気持ちになりました。それにしても、2,000年くらい続く人々の信仰心がエルサレムのエネルギーとして感じられて、人間の想いの力というのは決して侮ってはいけないものだと感じています。

テルアビブの空港再び

無事にホテルに戻り、午後4時に時間通りにホテルを出発して空港に向かいました。予定表では飛行機は午後9時ごろの出発で、エルサレムとテルアビブはバスで1時間くらい。渋滞や何かを入れてもちょっと早めの出発だなと思っていたのですが、実際にはものすごくちょうどよい時間でした。セキュリティチェックが厳しいなんてものじゃない厳しさで相当時間を取られたのです。最初は途中の道路で検問があり、運悪く私が尋問されました。聞かれた内容は「人数は?」「飛行機の時間は?」と言った割とどうでもいいことでしたが、尋問したイスラエル兵士の失礼で横柄な態度は不愉快でした。でも軍人としてはそういう態度をとらざるを得ないのだと思うと気の毒だとも思います。

空港では数人をピックアップして尋問。飛行機に武器や爆弾を持ち込まれるのを警戒するのは理解できますが、それにしても日本人の感覚からするとあり得ない感じ悪さで、本気で「2度と来るものか!」と思うほどでした。やっとセキュリティチェックから解放されたときは出発の2時間前、本当にジャストな時間でした。

こうして10日間のパレスチナ旅行は無事に終わりました。新しいものも知る、経験するということでは100%楽しい旅行でしたし、パレスチナ人の置かれている状態や思っていることなど、実際に見聞きしなければ知りようがないことも知ることができ、本当に行ってよかったと思います。檜先生、どうもありがとうございました。

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